プロ野球もあとは日本シリーズを残すのみとなりましたね。
野球ファンとしては、来年春までの間、なんともウズウズする期間になりますが、シーズンオフ期間中もそれなりに楽しめたりします。
一番のシーズンオフ期間中の楽しみはやっぱり選手の移籍ネタではないでしょうか?
トレードにFAと移籍の手段はいろいろとありますが、2000年に入って注目されている移籍の手段に、ポスティングシステムという物があります。
ご存知でしたか?
ポスティングシステムは、日本(NPB)のプロ野球球団からアメリカMLBの球団への移籍に関する制度になります。
その制度はちょっとだけややこしかったり、旧制度と現行の制度で大きな違いがあったりと、なかなか一言では説明できない制度になっています。
そんな訳で、今回はプロ野球のポスティングシステムの意味を解説しつつ、FA制度(海外FA権)との違いにも少し触れてみようかと思います。
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目次
ポスティングシステムとは?
冒頭でお話したとおり、日本のプロ野球におけるポスティングシステムは、アメリカメジャーリーグ(MLB)球団への移籍制度です。大前提として、海外球団へと移籍を希望する選手と所属するプロ野球球団の間で合意がされる事が必須です。
ポスティングシステムによる移籍の流れ
ポスティングシステムによる移籍の流れは以下のようになります。- 選手と球団の合意 既に記載した通り、これが大前提です。
- 球団による手続き 毎年11月1日から翌年2月1日までが申請可能期間になります。
- 選手とMLB球団の交渉 所属球団が告知手続きを行った翌日から、30日間が交渉期限になります。
- 契約合意と移籍手続き 選手とMLB球団とで契約条件(年俸など)に合意がされた場合は、移籍が成立します。
申請の際に球団はその選手の対価となる譲渡金を設定した上で、MLB側に告知します。(※譲渡金に関しては詳しくは後述)
2012年以前まで施行されていた旧制度と違い、獲得に興味を示すすべての球団と交渉が可能です。
尚、該当選手側はこの期間中の交渉経過などは、プロ野球機構(NPB)や所属球団に報告する義務は一切ありません。
契約合意の日から14日以内に、移籍先のMLB球団側から、現所属球団へ譲渡金が支払われます。
現所属球団は譲渡金の支払いから5営業日以内に、該当選手の保有権を破棄し、自由契約とします。
譲渡金とは?
既にほぼ説明した感じになりましたが、譲渡金とはその名の通り、移籍先のMLB球団から現所属球団へ支払われるお金です。少し言葉悪いですけど、所属球団側は該当選手に値段をつけて、市場に売りに出す感じになります。
尚、譲渡金の上限は2000万ドル(2017年現在で20億ちょっと)になっており、ここが後で説明する旧制度との大きな違いの一つです。
旧ポスティングシステム制度の違いは?
冒頭から、ちょくちょく出てきますが、現行のポスティングシステム制度は2013年以降施行されている制度で、2012年まで施行されていた旧制度と大きく異なります。ここでは、その違いについて見ていくことにしましょう。
完全入札制と独占交渉権
何と言っても、旧制度と現行制度の違いはこれに尽きます。オークション形式でもなく一発勝負の入札形式で、最高額を示した球団が選手との独占交渉権を獲得します。
元々、「ポスティング=入札」の意味ですから、ポスティングシステムと言う言葉自体、旧制度の方があっているのかもしれません。笑
また、1位の入札額を入れた球団のみが、選手との独占交渉権を持ちます。
旧制度の問題点
完全な入札制度であることから、有力選手の場合に入札金額が高騰する事や、1位入札と2位入札の金額に大きな差があっても、1位入札球団は入札した金額を払わないといけない事からMLB球団側の不満が高まり見直しの機運が高まったもの事実です。また、交渉権を得た球団側が、高額な入札金の代償とばかりに、(MLBに移籍したい選手の心理をついて)選手側に不利な契約を持ちかけたりする事もしばしばで、このあたりも問題視されていました。
また、実際に問題は発生しませんでしたが、ライバル球団の交渉権獲得を阻止する為に、入札金額だけ高額な金額を示して、交渉権を獲得し、その後の契約交渉で破断に持ち込んで契約しないケースが有りうることも指摘されていました。(選手の移籍が成立して入札金額は支払われるため)
旧制度でポスティングシステムでの入札後の契約交渉で破談になったケースは、岩隈投手の例がありますが、この時の独占交渉権を取得したオークランド・アスレチックスに獲得の意思があったのか無かったのかは明らかにされていません。
海外FA権とポスティングシステムの違いは?
ここでは、海外FA(フリーエージェント)権とポスティングシステムの違いを簡単に説明しておきます。なんといっても、最大の違いは所属する球団(NPB側)に見返りがあるか無いかです。
ポスティングシステムは既に記載の通り、譲渡金(NPB球団側が設定)が支払われます。それに対して、海外FA権を行使しての移籍に関しては、所属球団に対しては一切の見返りがありません。(国内移籍の場合は移籍先球団からの補償あり。)
その為、当初は頑なにポスティングシステムでの移籍を拒否していた球団も、該当選手の海外FA権の取得が近づくにつれて(大体1年~2年前)、態度を軟化させてポスティング移籍を認めるケースも少なくありません。
読売ジャイアンツなんかはいかなる理由があっても、ポスティングシステムでに移籍は認めておらず、入団当初からメジャー志向が強く、海外FA権取得でメジャー移籍が確実と言われていた上原投手までも、ポスティングシステムでの移籍を認めることはありませんでした。その辺りの一貫性は立派だったと思います。(上原投手には気の毒でしたが)
海外FA権の取得条件に関しては以下の記事を参考にして下さいね♪
プロ野球のFA権の取得条件が分かりにくいので解説してみた。
過去のポスティングシステムによる移籍ケースは?
ここでは、過去の移籍選手を振り返ってみましょう。私の知りうる限りの移籍裏話も紹介させて頂きます。
旧制度
- イチロー ご存知、我らがイチローですね。
- 石井一久 正直、自称・野球オタクの私ですら記憶に薄いですね。^^
- 大塚晶文 地味な選手ですが、第1回WBC優勝時の日本チームの守護神ですね。
- 中村紀洋 この人は揉めに揉めましたね。
- 松坂大輔 一番話題になったのはこの選手ですね。
- 岩村明憲 岩村選手って、ポスティングだったんや。。笑
- 井川慶 まぁ、間違いなく、一番の失敗移籍はこの人でしょう。うん。間違いない。
- 西岡剛 この方も失敗移籍ですね。
- 青木宣親 この方は息長く活躍されてますね。
- ダルビッシュ有 ちょっと、意外だったんですが、松坂選手より移籍金高いんですね。。
- 岩隈久志 ちょっと、番外編。
2000年オフに、オリックス・ブルーウェーブからシアトル・マリナーズへ1312万5000ドルの入札金額で移籍しました。
オリックスが”ブルーウェーブ”って所に時代を感じますね。
当時のシアトル・マリナーズは任天堂の資本が入っていたので、当然といえば当然の移籍先でした、
ちなみに、当時のマリナーズの監督は、.270くらい打てば上出来と思っていたらしいですよ。結果は御存知の通り、1年目から首位打者とリーグMVPを獲得しマリナーズの地区優勝に貢献しました。
2001年オフに、ヤクルトスワローズからロサンゼルス・ドジャースへ1126万4055ドルの入札金額で移籍しました。
本当に印象が薄い。確か、向こうでピッチャー返しの打球をモロに顔面に受けて生死を彷徨っていた記憶だけはあります。
当時のドジャースはあんまり強くなかったからなぁ。。
2003年オフに、中日ドラゴンズからサンディエゴ・パドレスへ30万ドルの入札金額で移籍しました。
30万ドルって、、、移籍先のパドレスでもそれなりに活躍していましたから、破格値です。。
2004年オフに、オリックス・バファローズからロサンゼルス・ドジャースへ移籍しました、入札金額は非公表です。
大物選手の移籍で、失敗第1号ですね。^^
日本の球団に在籍時も、何かとお金で揉めることが多く、ほんと印象悪い選手です。
2006年オフに、西武ライオンズからボストン・レッドソックスへ5111万1111ドル11セントの入札金額で移籍しました。
明らかにされていませんが、入団時からメジャー移籍の密約があったとも。
レッドソックスで、まともに働いたのは実質約3年なので、私個人的には失敗の部類に入ると思っています。(ゴメン、松坂くん)
2006年オフに、東京ヤクルトスワローズからタンパベイ・デビルレイズへ450万ドルの入札金額で移籍しました。
入団当時のデビルレイズ(現・レイズ)は弱小チームだったんですが、岩村選手の入団後、めきめきとチーム力が増して、ワールドシリーズにも出場しましたね。
2006年オフに、阪神タイガースからニューヨーク・ヤンキースへ2600万194ドルの入札金額で移籍しました。
同年オフにライバルチームのレッドソックスに松坂選手を取られた焦りからか、井川選手を獲得したわけですが・・・残念ながら、現地ニューヨークでは”消したい記憶”とまで言われている失敗移籍でした。
阪神でおとなしくやってりゃ良かったのに。。
2010年オフに千葉ロッテマリーンズからミネソタ・ツインズへ532万9000ドルの入札金額で移籍しました。
契約期間中にケガも重なり、わずか2年でクビになり日本に帰ってきました。
2011年オフに東京ヤクルトスワローズからミルウォーキー・ブルワーズへ250万ドルの入札金額で移籍しました。
入札後にワークアウト(いわゆる入団テスト)を受けさせられるという屈辱的な仕打ちを受けながら、そのテストに見事に合格し、チームの主力として活躍しました。
2011年オフに北海道日本ハムファイターズからテキサス・レンジャーズへ5170万3411ドルの入札金額で移籍しました。
テキサスレンジャースはこの頃からプレーオフの常連チームとなっていましたが、そのチーム内でもエース級の活躍をして、移籍金に恥じない活躍をしました。
ちょっと触れましたが、2010年オフにポスティング手続きをして、オークランド・アスレチックスが交渉権を得ましたが、交渉がまとまらずに移籍は叶いませんでした。
2011年オフに、海外FA権を行使してシアトル・マリナーズに移籍し、その後の活躍はご存知の通りです。
現行制度
- 田中将大 現行制度に移行後の移籍第1号ですね。
- 前田健太 こちらも譲渡金額上限一杯の2000万ドルで移籍しました。
2013年シーズンに24勝0敗と言うバケモノ的数字を叩き出し、楽天イーグルスの球団創設以来初日本一に貢献し、その年のオフにニューヨーク・ヤンキースへ2000万ドルの譲渡金で移籍しました。
既に説明の通り、2000万ドルと言う譲渡金額は現行制度では上限額ですので、最高評価での移籍と言う事になりますね。
2015年オフに広島東洋カープからロサンゼルス・ドジャースへ2000万ドルの譲渡金で移籍しました。
譲渡金額の割に評価の低い契約となりましたが、入団後は主力級の活躍をしています。
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あとがき
今回はプロ野球のポスティングシステムについてのお話をさせて頂きました。簡単にまとめると以下の通りです。
- ポスティングシステムとはFA権取得を前にMLB球団への移籍が出来る制度
- ポスティングシステムでの移籍には球団との合意が必要(球団が手続きをしない限り移籍できない)
- 所属球団は該当選手に移籍譲渡金を設定し、移籍先のMLB球団はこの金額を所属球団に支払う
- 旧制度は最高入札金額を入れたMLB球団のみが独占交渉権を得ることが出来たが、現行制度では移籍譲渡金額を支払う意思さえあれば、全ての球団が交渉可能。(結果として、移籍選手も移籍先を選ぶことが出来る)
- 海外FA権を行使しての移籍は所属球団側に何の見返りもないが、ポスティングシステムでの移籍であれば、移籍譲渡金が所属球団に入る
記事内でも少し触れましたが、若干、選手を売っている感の強い制度ではあるんですよね。その辺りを、読売ジャイアンツなどは制度発足当初から批判していましたし、事実、例外なくポスティングシステムによる選手のMLB移籍を一切認めていませんからね。
逆に、入団交渉時にメジャー移籍を容認する球団も少なくありません。日本ハムファイターズの大谷選手などはメジャー移籍前提の日本ハム入団でしたし、間違いなくポスティングシステムでMLB球団へ移籍する事でしょう。
私個人としては、賛成派です。
やはり、実力のある選手はピークを迎える前にMLBへどんどん挑戦してほしいと思っています。日本のプロ野球がスター選手不在になり、野球人気が低下するなんて言っているOBもいますが、
そんなんはあんた達球界人が何とかすべき事でしょ?!
何甘えたこと言ってんの?
名球会とかしょうもないお遊び集団作る前に、日本のプロ野球界の行く末にもっと貢献しろよ!
と、思う次第でござます。
特に日曜日の朝っぱらから「喝だぁ!」とやかましいあいつ。
・・・コホン。
ちょっと、アツくなりすぎました。この辺にしておきます。^^
では。
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