2016年も早いもので残すところ、2ヶ月を切りました。

今年は世界的にも大きなイベントがありましたね。

英国のEU離脱を問う国民投票にアメリカ大統領選挙、、、いずれも結果は大方の予想とは違う物でした。

そのおかげで、経済市場は大混乱。世界の主要株価指数や為替は乱高下しましたよね(もちろん、一過性のもので、今は落ち着いていますが。)。

その為替の乱高下に一番神経を使わされたのは、利上げのタイミングを計ってきたFRB(アメリカ連邦準備制度)ではないでしょうか?

春くらいからアメリカがそろそろ追加利上げするぞ!と言いながら、結局11月まで利上げはなし。残る利上げタイミングは12月のFOMC(連邦公開市場委員会)のみとなりました。

ここまでで既に聞きなれない言葉たくさん出てきましたね。そもそも、利上げって何なのさ?と言う質問が飛んできそうです。

そんな訳で、今回は”アメリカが利上げするって言ってるけど、利上とは?”と言う質問に対してお答えしようかと思います。

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少しだけ、予備知識を説明


予備知識無しに利上げについて説明しても、専門用語等が出てきて通じない部分があります。ですので、最初に少しだけ必要な説明をさせて下さい。

政策金利と預金金利/貸付金利


そもそも、政策金利って言葉自体が耳慣れない方も多いかもしれませんね。

簡単に言うと、一般金融機関が中央銀行からに資金を調達するときの金利です


分かり易いように日本に置き換えましょう。

東京三菱UFJ銀行や滋賀銀行が日本銀行から資金を調達する時の金利とお考え下さい。つまり、一般銀行が資金調達する為の金利指標なので、我々一般顧客に対するローン金利や預金金利にダイレクトにリンクするのは言わずもがなです。(東京三菱UJFと滋賀銀行を並列に配置するなよ。)

中央銀行とは


既に少し述べてしまっていますが、中央銀行とはいわゆる一般顧客に対する業務を行わない銀行で、一般銀行に対して資金を供給したり回収したりする事で市場の通貨量の調整を行い、通貨価値(物価)の安定と金融システム(信用制度)の維持する事が最も主な役割です。

政策金利の変更決定は、通貨量の調整の為の一手段と言う事になります。

  • 日本で言えば日本銀行
  • アメリカではFRB(アメリカ連邦準備制度)
  • ヨーロッパではECB(欧州中央銀行)

になります。

ECB(欧州中央銀行)と言う言葉は2015年のギリシャ問題のときに散々出てきましたよね。

ちなみに、冒頭文に出て来たFOMC(アメリカ連邦準備制度)と言うのは、政策金利を現状のまま据え置くのか?利上げするのか?利下げするのか?を決定する為のFRBの会議です。日本で言うと、日銀会合の様なものです。

利上げと利下げ


中央銀行と政策金利について簡単に説明した所で、政策金利の利上げと利下げが、市場にどういう影響を与えるのかを説明してきますね。

利上げとは


その名の通り、政策金利を引き上げることです。

その国の景気が過熱して、市場にお金が溢れている時(いわゆる、インフレ)、活発化しているお金の流れを止める事を目的としています。

中央銀行が政策金利の利上げをすると、一般銀行の預金金利も上がる事になります。それに伴い、一般消費者が消費(物を買う事)をやめてお金を預金に回してくれる事を期待しています。

また、ローンの貸出金利も上がる事になるので、個人消費者の大きな買い物(家、車など)や企業の設備投資(工場の増設など)を抑制する効果も期待しています。

この事から利上げは”金融引き締め”などとも言われます。

日本のいわゆるバブル時代は、10パーセントを超える金利の預金商品もあったのだとか。今では考えられないですよね?!その変わりにローンの金利も10パーセント近くあった様です。

利下げとは


こちらも読んで字のごとくで、政策金利を引き下げるとです。

市場のお金の流れを活発化して景気を良くする事を目的としています。

もう少し、ぶっちゃけちゃうと、、、

「貯金してもこれだけしか利息付かないのか。」
「じゃぁ、貯金なんてせずに、何か買うか!」


と言う流れを期待しています。

同じく、ローンの金利も下がるので

「おっ!金利が低いぞ!!」
「ローンを組んでマイホームでも買うか!」


と言う流れも期待しています。

この事から利下げは”金融刺激策”などとも言われます。

日本は利下げに利下げを重ねて、かつ、デフレが長期化しているので、政策金利を下げようの無い所まで来ています。ゼロ金利政策なんて言葉を一度は耳にした事があるのでは?と思います。

せっかくなので


ここまで、政策金利と利上げ/利下げについて述べて来ました。

せっかくですので、アメリカがなぜ利上げをしようとしているのか?に付いても書いてみようかと思います。

アメリカはなぜ利上げしようとしてるの?


2008年のリーマンショック以降、アメリカの中央銀行(FRB)はバブル崩壊後の日本銀行の対応に倣い、ゼロ金利政策を敷いてきました。その効果が現れて、一昨年ごろから雇用状況や経済状況に改善の傾向が出て来たので、ついに、2015年12月にゼロ金利政策を解除しました。

それに加えて、また利上げしようとしているって事はアメリカの経済は活発なの?と言うことになりますが、実はそうでもありません。まぁ、悪くも無いのでしょうが、普通のレベルと言われています。

上に書いたとおり、”利上げ=金融引き締め”のイメージが強いですが、FRBがやろうとしている利上げは、リーマンショックの直後にゼロまで引き下げた金利を元の金利の戻そうとしているだけです。

万が一、リーマンショックの様な次の経済危機が発生した時、アメリカの中央銀行(FRB)各国の中央銀行としては、金利を操作するくらいの対応しか出来ません。なので、それなりの金利が無いと、金利を下げたところで、利下げの効果が薄いというわけです。

なぜ、躊躇しているの?


じゃぁ、さっさと利上げしちゃおうよ!って話になりそうな物ですが、そうもいかない事情があります。

今の世界経済を下支えしている新興国(主に言えば、中国、トルコなど)の経済に対して、悪影響を及ぼす可能性があるからです。

先進国の中央銀行がこぞってゼロ金利を敷く中、投資家達は旨味の無い先進国から資金を引き上げて、新興国に対して投資をして来ました。伸びシロが多い新興国経済はリーマンショック後もそれなりに好況だったからです。

儲ける為に投資をしているのだから当然と言えば、当然の行為ですよね。

で、アメリカの中央銀行(FRB)が金利を上げることで、新興国に投資したお金が引き上げられて、再度アメリカ国内に戻って来る可能性があるのです(キャッシュフローの逆流等と言われています。)。それが、一気に起こってしまうと、それこそ新興国の経済が破綻してしまいます。

こういった理由に合わせて、中国発の世界同時株安、英国のEU離脱投票後の金融市場の混乱、アメリカ大統領選挙中の金融市場の混乱などの不穏な空気が、利上げを慎重にさせています。

まぁ、去年12月の利上げ(ゼロ金利解除)時も

  • 長い時間を掛けて
  • ゆっくりと
  • 金利を正常化していく


と、公言しているので、宣言通りの行動ではあるんですけどね。

しかし、自国の事だけ考えていれば良い日本に比べたら大変ですよね。自国の決定が世界経済に影響を及ぼし兼ねないんですから。

まとめとあとがき


今回は世間を賑わせている”アメリカの利上げとそもそも利上げとは何なのか?”についてお話しさせて頂きました。

簡単にまとめておきますと以下の通りです。

まとめ
  • 政策金利は一般銀行が中央銀行から資金調達する際の金利
  • 政策金利は一般銀行の一般顧客向け商品(貯金、ローンなど)に直結する
  • 利上げ/利下げをする事で市場に出回る資金の量を調整している。
  • 一般的には好景気の時に利上げをし、不景気の時に利下げをする。

これらを元に今のアメリカの事情にも少し触れさせて頂きました。

アメリカの事情
  • 特段、景気が良い訳では無いが、リーマンショック発生後に下げに下げた金利を正常化したい(戻したい)。
  • しかし、新興国の経済に影響を与え兼ねないので、慎重になっている。
  • 加えて、中国経済の減速、英国のEU離脱国民投票やアメリカ大統領選挙などのイベントで為替が乱高下したので、さらに慎重になっている。

ただ、日本や欧州などは景気の回復が非常に鈍く、ゼロ金利を戻す事すらままなりません。それを考えると、利上げが出来る環境にあるだけで、羨ましい限りなんですけどね。

ちなみに、アメリカの次に利上げをするのは英国だろうと言われて来ましたが、EU離脱の国民投票の結果を受けて、それどころでは無い事は容易に想像出来るかと思います。

しかし、自国のみならず、世界経済のカギを握っているなんて想像するだけで恐ろしいですよね。常人には勤まることの無い職である事は間違いなさそうです。FRBの議長経験者を日銀の総裁に招聘してはどうだろうか?(やっぱり、ダメだよね・・・)

いずれにせよ、アメリカの景気が良くならないと、世界の景気が良くなる事などありえません。なんとか、持ち直して欲しいですね。

そして、日本の経済も良くなる事も期待しています。

それでは、今回はこの辺りで失礼させて頂きます。

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