2017年1月より、いよいよセルフメディケーション税制がスタートします。

セルフメディケーション税制については既にネット上にかなりの情報が流れています(じつは私も別の記事で記載していたりします)。ですが、利用する側にとって、一番大事な情報は現行の仕組み(制度)との違いですよね?

  • 現行の仕組みと何がどう違うのか?
  • どういうメリットがあるのか?
  • どういう制約があるのか?

結局のところ、一番知りたい情報はこの辺りでは無いかと思います。




ここで言う現行の仕組みとは医療費控除になってきます。セルフメディケーション税制と医療費控除は同時に受ける事が出来ませんので、その対象範囲や対象額などを知った上で、

  • どちらの制度が適用できるのか?
  • 両方適用できる場合、どちらの制度を利用した方がメリットがあるのか?

などが一番知りたい情報かと思います。

そんな訳で、今回はセルフメディケーション税制と医療費控除の違いについて、お伝えしようと思います。

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大きな違いは3つ

結論から言うと、大きな違いは3つです。

  • 病気に対する、予防義務の有無の違いがあります。
  • 控除が適用される額が違います。
  • 控除となる対象範囲が変わります。

それでは、早速各項目を掘り下げて見て行きましょう。

一つ目・・・病気に対する予防義務の有無の違い

従来からある医療費控除は、いかなる理由であれ病気や怪我に掛かった治療費(医療費、医薬品代など)が全て対象になります。

それに対して、セルフメディケーション税制では病気を予防する意思があった事を証明するものが必要になります。具体的には、以下のいずれかを申告対象の1年間のどこかでに受診していけていることが条件になります。

  • 定期健康診断
  • 特定健康診査(メタボ健診など)含む、健康診査
  • がん検診
  • 人間ドック
  • 予防接種

人によっては、確定申告の窓口で、健康診断の結果を提出する事に抵抗があるかもしれないですね。

それでも、セルフメディケーションのそもそもの定義が以下の様になっていますから、この義務は大前提と言う事なのでしょう。

セルフメディケーションの定義

自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること


世界保健機関(WHO)より

二つ目・・・控除が適用される額の違い

税制上の控除を受ける為の必要額が医療費控除とセルフメディケーション税制で違います。

具体的には、医療費控除が適用されるのは、年間に掛かった医療費が10万円を超えた場合です。


それに対して、セルフメディケーション税制では、年間に掛かった市販医薬品の購入額が1万2千円を超えた場合に控除が適用されます。


但し!セルフメディケーション税制の対象となる市販医薬品は全てが対象と言うわけではありません。こちらに関しては、次の項で説明します。

三つ目・・・控除となる対象範囲

医療費控除の対象になる物はたくさんあります。

保険適用医療、医薬品に掛かった費用はもちろんの事、保険適用外の治療も対象になります。

具体的には、鍼師、灸師、柔道整復士の治療や差し歯なども対象です。特殊な所では、女性の不妊治療、人工授精費用なども医療費控除の対象です。意外な所では、通院や入院に関わる交通費も医療費控除の対象になります。

その他上げるとキリがないので、本記事内ではこの辺りにして置きます。


それに対し、セルフメディケーション税制の対象範囲はかなり狭いです。前の項で市販医薬品と記載しましたが、市販医薬品の中でも、”スイッチOTC医薬品”と呼ばれる、医療用医薬品から転用された市販医薬品が対象となります。

このマークが目印です。




スイッチOTC医薬品に関してはこちらの記事で説明していますので、参考にして下さい。

セルフメディケーション税制で再注目!?スイッチOTC医薬品とは?


当然ですが、セルフメディケーション税制で対象となる物は全て、医療費控除の対象ともなります。

文章だけでは分かりづらいですよね?次項では実際の例で見て行きましょう。

それでは実例を

早速、実例で見ていきましょう。

山本さん一家の例

山本さん一家の例です。

  • スイッチOTC医薬品の年間購入額:4万円
  • 治療に関わる費用の年間合計額(スイッチOTC医薬品は除く):3万円



山本さん一家は治療に関わる費用が7万円(うちスイッチ医薬品の費用が4万)です。

よって、10万円に達していないので、医療費控除は適用外と言う事になります。



但し、セルフメディケーションに費やした出費(スイッチOTC医薬品の購入額)が1万2千円を超えていますね。

よって、スイッチ医薬品の費用4万円から1万2千円を引いた額、すなわち2万8千円の所得控除を受けられます。



山本さん一家は、これまでの制度(医療費控除)であれば、所得控除を受ける事が出来ませんでしたが、新制度(セルフメディケーション税制)の恩恵をもろに受ける形となりましたね。

中村さん一家の例

中村さん一家の例です。

  • スイッチOTC医薬品の年間購入額:5万円
  • 治療に関わる費用の年間合計額(スイッチOTC医薬品は除く):7万円




中村さん一家は治療に関わる費用が12万円(うちスイッチ医薬品の費用が5万)です。

よって、10万円に達しているので、医療費控除を受けることが出来ます。



しかし、良く見て行くと、、、セルフメディケーションに費やした費用(スイッチ医薬品の購入額)が5万円となっていますので、1万2千円を引いた額3万8千円の所得控除が受けられます。

では、医療費控除の方は?と言いますと、、、治療に関わる費用が12万円から10万円を引いた額は2万円です。



セルフメディケーション税制と医療費控除は同時に受ける事が出来ませんから、この場合は差額の大きいセルフメディケーション税制を利用した方が税制面で有利になりますね。



中村さん一家は、これまでの制度(医療費控除)でも、所得控除を受ける事が出来ますが、新制度(セルフメディケーション税制)を利用した方が税制面で得をする形となりまたね。

田中さん一家の例

田中さん一家の例です。

  • スイッチOTC医薬品の年間購入額:3万円
  • 治療に関わる費用の年間合計額(スイッチOTC医薬品は除く):10万円




田中さん一家は治療に関わる費用が13万円(うちスイッチ医薬品の費用が3万)です。

よって、10万円に達しているので、医療費控除を受けることが出来ます。



これまでと同様に良く見て行くと、、、セルフメディケーションに費やした費用(スイッチ医薬品の購入額)が3万円となっていますので、1万2千円を引いた額1万8千円の所得控除が受けられます。

では、医療費控除の方は?と言いますと、、、治療に関わる費用が13万円から10万円を引いた額は3万円です。



この場合は差額の大きい医療費控除を利用した方が税制面で有利になりますね。



中村さん一家は、新制度(セルフメディケーション税制)での所得控除も対象でしたが、これまでの制度(医療費控除)で、所得控除を受けた方が有利と言う結果になりました。

まとめ

今回はセルフメディケーション税制がこれまでの医療費控除とどういった違いがあるのか?を実例を挙げて見て行きました。

簡単にまとめておくと以下の通りです。

  • 病気に対する、予防義務の違いがある
  • 控除が適用される額が違う
  • 控除となる対象範囲が違う
  • セルフメディケーション税制と医療費控除は同時に受けられない

一番最後の項は重要なポイントですね。実際に例をあげて、どちらの制度を利用する方が有利なのかを見て行きましたね。

分かりやすいように、表形式でもまとめておきます。

セルフメディケーション税制 医療費控除
予防義務 証明が必要(※1) 不要
控除対象額 1万2千円 10万円
対象範囲 スイッチOTC医薬品のみ 治療に関わる費用全て(※2)

※1
定期健康診断、特定健康診査(メタボ健診など)含む健康診査、がん検診、人間ドック、予防接種など

※2
スイッチOTC医薬品を含むことは勿論の事、保険適用外の治療費、女性の不妊治療費・人工授精費用など、通院や入院に関わる交通費など対象は幅広い


余談になりますが、セルフメディケーション税制は特例として実施され、その期間は5年間の予定です。

勿論、効果が見られるようであれば、本格的に根付いていくでしょう。


いずれにせよ、知っているのと知らなのでは大違いの制度ですね。セルフメディケーション税制についてはこちらの記事で詳しく書いていますので、興味があれば参考にして下さい。

セルフメディケーション税制とは?申告までの4つのポイントをチェック!


薬局に市販品を買いに行く際には、セルフメディケーション税制とスイッチOTC医薬品の事を思い出して下さい。そして、レシートは大切に保管しましょうね。

それでは、今回はこの辺で失礼します。

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